最終更新日 2025年7月16日
こんにちは、矢島です。
ひとのことでは、「わたし」らしく、笑顔でイキイキと過ごせるための学びの情報を発信しています。
「は?なんでそんなこと言うの?」
「ひどい…そんな言い方しなくてもいいのに」
相手の何気ないひと言に、心がチクリと痛むことはありませんか?
私にもこんなことがありました。
上司の期待に応えたいという思いから、やったことがない仕事に積極的に取り組み、上手くできず、時間ばかり経っていました。『最後まで一人でやり切らなくちゃ』という思いだけが強く膨らんでいました。
そんな時、上司から「できないならできないとはっきり言え!」と強い口調で言われて、ひどく落ち込みました。
私はその言葉で、『仕事ができない部下』というレッテルを貼られたように感じたのです。
でも少し時間が経ってから、上司は「抱え込んでしまうとチーム全体に支障が出る」と伝えてくれました。私が困っていることに気づき、あえて強い言い方をしたのだと分かったとき、心の中に少しだけ余裕が生まれました。
「上司も、私を責めたかったわけじゃない」
そう思えたとき、「もっと早めに相談しよう」と、自分の行動を変えてみようと思えたのです。
このコラムでは、相手から投げかけられた言葉の背景を考えることによって、大切な自分の心を必要以上に傷つけることをせず、相手とより良い関係を築く方法をお伝えします。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
言葉は“結果”であって、“真実”ではないこともある
わたしたちは、つい表面的な言葉だけを見てしまいがちです。
でも実はその言葉は、心の奥にある感情や状況の“結果”として出てきた表現であることが多いのです。
たとえばこんなケースもあります。
* 「放っておいて」=(本音:本当は気づいてほしい)
* 「別に…」=(本音:うまく言えないけど、寂しい)
本音と表現が一致しないことって、誰にでもありますよね。
時間的な余裕がなかったり、体調が悪かったり、気分が落ち込んでいる時など、普段は聞き流すことができる言葉や態度に反応してしまい、きつい言い方をしてしまった経験があるのではないでしょうか?
もしかしたら、相手も同じような状況かもしれません。だからこそ、言葉を「そのまま」受け取るのではなく、「どうしてこの言葉を使ったのかな?」と、一歩奥を想像する姿勢が大切なのです。
言葉の奥にある“本当の声”を聞く方法①ハートリスニング
相手の本音に寄り添うために、とても大切な“態度”があります。
ここでは、株式会社Unleashが企業研修で使っている【傾聴の体系図】をもとに、ご紹介します。
図の一番下にあるのが、傾聴の土台となる「ハート・リスニング」。
これは、受容・共感・自己一致という3つの姿勢に支えられています。
① 受容(Acceptance)
相手の言葉や感情を否定せず、「そのままを認めること」。
「そんなふうに感じたのだね」「そう思ったのね」と、まるごと受けとめることで、相手は「わかってくれている」と感じ、心を開きます。
ポイントは、「同意」ではなく「理解」。
たとえ自分と意見が違っても、「そう感じたのね」と相手の立場を尊重する姿勢が、信頼の土台になります。
心理学者カール・ロジャーズは、こう語っています。
「そんなあなたも大丈夫だよ」とまるごと包まれたとき、人はほっとして、少しずつ前に進めるようになります。
② 共感(Empathy)
「わかります」と言うだけではなく、相手の立場に立って“感じようとする“ことが共感です。
「そのとき、苦しかったのかも」「寂しかったのかも」と、想像力を働かせることで、心の距離がぐっと近づきます。
心理学者カール・ロジャーズは、共感の本質をこのように語りました。
「わかろうとしてくれる気持ち」が伝わるだけで、人の心は、ふっとゆるむものです。
③ 自己一致(Congruence)
自分の気持ちに嘘をつかず、正直に「今ここにいる自分」と一致していること。
たとえば、心の中でイライラしているのに「大丈夫」と笑ってみせても、相手には違和感として伝わってしまいます。
無理に“良い人”を演じる必要はありません。
「今はちょっと余裕がないな」と自分に気づき、距離を取ることも、誠実なコミュニケーションの一つです。
心理学者カール・ロジャーズはこのようにも言っています
いい人でいようと頑張らなくても大丈夫。素直な気持ちを大切にすることが、いちばん人を惹きつけます。
ハート・リスニングがあるからこそ、言葉の奥にある“本当の声”が聴こえてくるのです。
言葉の奥にある“本当の声”を聞く方法②非言語の力
「この人、今どんな気持ちでいるのだろう?」このように、言葉の背後にある感情や思いを受け取るには、「非言語」の情報に意識を向けることがとても大切です。
心理学者のアルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、人が他者のメッセージを受け取るとき、
言葉そのもの(話の内容)はわずか7%
声のトーンや話し方が38%
見た目や態度(表情・仕草・服装など)が55%
という割合で影響を与えるとされています。
つまり、私たちは言葉以上に、声のトーンや表情、態度などの非言語的なサインから、相手の本当の気持ちを感じ取っているということです。
たとえば
◯声が上ずっている
◯目を合わせず、そわそわしている
◯話の途中でふと沈黙する
こうしたささいな変化の中に、「言葉にできない思い」が隠れていることもあります。非言語のサインを感じ取るには、特別なテクニックよりも“心の姿勢”が大切。
「この人、今どんな気持ちでいるのかな?」このように想像しながら耳を傾けることが、相手の心に寄り添う第一歩になります。
明日からできる、小さな「聴く」実践
言葉の奥にある“本当の声”を聴くことは、特別なスキルではなく、ちょっとした意識の持ち方から始まります。
「すぐに全部できる」必要はありません。
まずは、できるところから、できるときに。
そんな気持ちで、今日から小さく試してみませんか?
① 「うなずき」や「相づち」に心をこめてみる
「うんうん」「そっか」「なるほどね」――
何気ない相づちにも、相手は“聴いてくれている”安心を感じます。
言葉に気持ちを乗せてみる。
ほんの少し、目を合わせながら頷いてみる。
それだけで、相手の表情がやわらかくなることがあります。
② 言葉になっていない部分に、そっと意識を向ける
話している相手が、急に声を小さくしたり、言葉に詰まったりしたとき。
その「間」や「沈黙」には、実はたくさんの思いが詰まっているかもしれません。
そんなときは、言葉で埋めようとせず、ただ一緒に“その空気”でいることを選んでみてください。
言葉以上に、あなたの“まなざし”が、相手の心を支えることもあります。
③ 自分自身の“今の気持ち”にも耳を傾ける
誰かの話を聴くためには、まずは自分の心が整っていることも大切です。
「今日はちょっと余裕がないな」「なんか疲れてるかも…」そんな自分に気づいたら、まずは深呼吸。
聴くことができないときは、無理をせず、自分にも優しくしてあげてくださいね。
どれも、小さなことだけど、大きな一歩です。明日、目の前の誰かに、ぜひ“まなざし”を向けてみてください
その一瞬が、相手の心にあたたかな風を吹かせるかもしれません。
言葉の奥にある“声”を聴くということ
誰かの言葉に耳を傾けるとき、その奥にある「まだ言葉になっていない思い」まで感じ取ろうとする姿勢は、きっとその人の心をそっと温める力になります。
「わかろうとしてくれている」まなざしを向けること。
自分自身にも正直でいること。
それらはすべて、“うまくやるための技術”ではなく、人と人とのあたたかな関係を育む土壌です。言葉は、時に嘘をつくけれど、心からのまなざしは、嘘をつきません。
今日も、目の前の誰かと出会ったとき、その人の「言葉の奥にある声」に、少しだけ耳を澄ませてみてください。
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