最終更新日 2023年5月11日
こんにちは、矢島です。
ひとのことでは、「わたし」らしく、笑顔でイキイキと過ごせるための学びの情報を発信しています。
私たちは、職場のみならず、家庭、学びや趣味で集うコミュニティなどで多くの人と関わりを持ちます。そして、上司、部下、同僚、友人、夫、妻、子供など、場面によって異なるさまざまな役割を持って、人間関係を築いています。
特に職場においては自分自身を表現することは難しいと感じる人は多いのではないでしょうか?
「この人の前では、自分を表現できるのに、この人の前では、自分を表現できない。」そう感じることはありませんか?
「どんな人の前でも自分を表現できたら、もっとよくなるのに。」と感じる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、3種類の自己表現方法を解説し、中間管理職としてあらゆるタイプの上司や部下と接してきた私自身の体験談から、自分も相手も大切にする自己表現が職場でのコミュニケーション力を上げる事例をお伝えしていきます。
今よりもっと積極的に自分を表現したいと思う方は是非、参考にしてみてください。
目次
自分を表現する方法とは
自分を表現する方法はさまざまありますが、今回は、お互いの価値観を大切にしながらより良い関係を築くコミュニケーションスキルである「アサーション(assertion)」をお伝えします。
「アサーション(assertion)」とは、「自己主張」という意味の単語で、相手と対等な立場に立って自己主張をするためのコミュニケーションスキルのことです。アメリカで「行動療法」という心理療法の中で提唱された考え方です。日本には、1980年代に伝わりました。
アサーションでは、自己表現のタイプを次の3つに分けています。
1.アグレッシブ(攻撃的な自己表現)
自分のことは優先するが、相手のことを考慮しなかったり踏みにじったりする自己表現。
相手を支配し、相手を自分の思う通り動かそうとか、相手に勝とうとかする態度や行動。相手の権利を侵してでも自分の言い分を通そうとするような言動です。
2.ノンアサーティブ(非主張的な自己表現)
自分のことは二の次にして、相手を優先する自己表現。
自分の考えや気持ち、要求などを率直に表現しなかったり、表現し損なったりすることで、自分自身の人権を自ら犯してしまうような言動です。
3.アサーティブ(自分も相手も大切にした自己表現)
自分のことを大切にするが、相手にことも大切にする自己表現。
自分の意見、考え、要求、気持ちなどを率直に、正直に、その場の状況に合った適切な方法で述べる言動です。
どの傾向が強いとか、弱いとか言うことはありますが、人は相手によって、この3つの自己表現を使い分けています。職場においては、アグレッシブ、ノンアサーティブになることが多いのではないでしょうか?具体的な事例を私の経験でお伝えします。
部下に対して攻撃的な自分を表現(アグレッシブ)
今から13年ほど前、初めて管理職となって1年ほどが経過した頃、私は自分の仕事も増え、部下も7名ほどに増えて、毎日がとても忙しく感じていました。イライラし、ピリピリした雰囲気を出している日が多かったと思います。
部下から話しかけられても、部下の顔を見ず、自分のパソコンを見て、業務をしながら聞いていました。「自分は忙しいのだ。あなたたちもしっかり働いてほしい」と言葉で伝えずに態度でわからせるように振る舞っていました。
上司に対して非主張的な自分を表現(ノンアサーティブ)
反対に上司との関わりは、自分が言いたいことは言わず、上司から伝えられたことを従順に、第一優先でおこなっていました。「本当はこうした方が良いと思うのに」と心の中で思ったことも、グッっと胸の奥に仕舞い込んで行動していました。
そして、上司に理解してほしい自分の気持ちや考えを伝えることができなくなり、結果としてモヤモヤし、イライラした感情を味わう日が増えていました。
自分も相手も大切にした表現方法(アサーティブ)
自分も相手も大切にしたアサーティブな自己表現方法には、伝える要素が3つあります。
②それによる自分への影響や気持ち、感情を伝える
③考え、提案、リクエストを「わたし」を主語に伝える
では、一つずつポイントをお伝えします。
①相手に事実を伝える
事実を伝えるときにとても大切なことは、客観的事実を伝えることです。
客観的事実とは、相手の言ったこと(言葉)や相手がやったこと(行動)がお互いに理解できることです。
例えば、部下が15分遅刻したときの客観でき事実は、『15分遅刻した』です。
どうでしょう?
遅刻した部下に対して、『遅刻するなんて、ありえない!』と注意したことありませんか?
『あなたは、今日15分遅刻しました。』と伝えると相手も自分の行動に向き合うことができます。
②それによる自分への影響や気持ち、感情を伝える
相手の客観的事実に対して『何を感じたのか?』自分への影響や気持ち、感情と向き合う時間を取ることが大切です。
先ほどの部下が15分した場合を考えてみましょう。
例えば、以下のように遅刻した日の状況によっても変わるかもしれませんね。
●何日も遅刻が続いた場合
●とっても大切な商談の日の場合
●自分との面談の約束をしていた場合
それぞれの場合、部下の遅刻にあなたは何を感じましたか?
●何日も遅刻が続いた場合
→部下の遅刻が続いて、自分の上司から管理責任を問われそうだと不安になっている。
●とっても大切な商談の日の場合
→大切な商談の時に遅刻してくるなんて、何てことをしてくれたんだと怒りが込み上げている。
●自分との面談の約束をしていた場合
→私との面談に遅刻してくるなんて、私のことを軽く見ているのではないかと落ち込んでいる。
あなたが感じたことを素直に伝えることは少しハードルが高いかもしれませんが、気持ちをわかってもらうことはとても大切です。
③考え、提案、リクエストを「わたし」を主語に伝える
相手の客観的事実、それによる自分の影響や気持ち感情と向き合った後、『本当はどうして欲しかったのか』あなたの考えや提案、リクエストを伝えます。
この時、忘れないで欲しいのは、「わたし」を主語にすることです。
もちろん、部下が遅刻しなくなることが一番良いとは思いますが、せめて、『事前に連絡をしてほしい』というリクエストになるかもしれません。部下が自ら行動を変えていこうと自己評価できる提案やリクエストが良いですね。
全体を通して、とても大切なことがあります。
それは、自分の状態が『穏やかに、冷静に』なっているかどうか確認することです。
特に自分の状態がイライラし、相手に対して自分の思い通りにしたいという欲求が高い時は要注意です。
このような時は、少し時間をおいて自分の気持ちが落ち着くのを待つことが一番です。すぐに伝えなくても上記の順番で丁寧に伝えると相手は理解してくれます。
今日からやってみよう!職場で自分を表現する習慣
職場において、自分の考えや提案をしづらく感じることが多いかもしれません。しかしながら、一方で自分の考えや提案を理解してほしいという感情もあると思います。
最初の一歩は勇気が必要かもしれませんが、先ほどの流れに従い、自分と相手の出来事や気持ちを整理してみてください。
そうすると、自分がどのように感じているのか、自分自身の気持ちを理解することができるようになります。そして、自分の気持ちを大切にしたいと思うようになり、自分自身と向き合う時間が増えていきます。
・本当は相手に自分のどのような気持ちをわかってもらいたいのか
・本当は相手とどのような関係になりたいのか
・本当は自分がどのように在りたいのか
このことに気付くようになるとアサーティブな自己表現の機会が増え、コミュニケーション力がグッと上がります。
合わせて読んでみてください。
本当は自分がやらないといけない仕事があるのに、上司から「この書類作ってくれる?」と言われると「いいですよ」と返事をしてしまうことありませんか?これは上司に対してノンアサーティブな状況です。
自分の気持ちよりも相手の要求を叶えようとして一生懸命動いていると、いつしか自分の気持ちや意見を伝えることができなくなってしまいます。こちらの記事では、自分自身の気持ちに気付く方法をお伝えし、自分の気持ちや意見を躊躇なく伝えるための習慣づくりの方法をお伝えします。
自分自身のことは自分が一番よくわかっているはずなのに、自分自身の本当の気持ちに気付くことができない人は多いのではないでしょうか?
自分自身の本当の気持ちよりも世の中の常識や体裁などによって解釈し、判断してしまうことを繰り返してきてしまった結果だと感じています。この記事では筆者が2015年1月から約6年、私が自分の気持ちと向き合い続け、自分をよく知る方法は、自分自身の『怒り』の感情であった理由をお伝えします。